山形県真室川町は北、西、東の3方を山に囲まれた山村で、鮭川と真室川(塩根川)、金山川の川沿いに集落を形成してきました。
かつてのにぎわい
山形県内陸部の最北端に位置し、秋田県湯沢市と県境を接しています。1904(明治37)年に日本鉄道会社により町内を縦断する奥羽南線が開通し、翌年に福島-青森間を結ぶ現在の奥羽本線が全通すると、真室川は山形県の北の玄関口として賑わいを見せるようになりましたが、それまでは羽州街道などの主要街道から外れた寒村だったようです。
真室川の人口
真室川の人口は、1955年の17,118人をピークに減少しています。
2020年の国勢調査では7,203人となり、前々回2010年調査と比べてー1,962人(増減率-21.4%)減少しました。15歳未満人口は689人(2010年は944人)、高齢化率は41.7%(同32.5%)、3世代同居率は23.4%(同34.3%)となっており、少子高齢化の傾向とあわせて世帯構成が急激に変化しています。
真室川町の天候
夏は昼夜の寒暖差があり、夜は涼しく快適に過ごすことができます(ただし、南方に台風があるなどしてフェーン現象が起きると夜も寝苦しい暑さとなります)。こうした寒暖差は農産物の成長にもプラスに作用し、美味しい野菜やお米を育ててくれます。
特別豪雪地帯に指定されており、町内で比較的積雪が少ない町なかでも150cmを越える雪が積もることがあるなか、雪の多い山間の集落では250cmを越えることもあります(山形県35市町村のうち約75%の26市町村が特別豪雪地帯に指定されています)。
雪雲が大量の雪をもたらす一方で放射冷却を抑えるため、意外に寒さは穏やかです。町内にあるアメダスの1月の平均気温平年値はー1.0℃(2月は-0.7℃)、最低気温の平均はー4.0℃(同-4.1℃)となっており、最も低い最低気温は1999年2月4日に記録した-15.1℃です(1977年1月から2021年8月までに記録した差首鍋気象観測所のデータによる)。
湿度も高いため(新庄特別地域気象観測所の1月の平均湿度平年値は86%)、体感でも寒さはそれほど厳しくありません。
雪雲の影響もあり日照時間が短いのも特徴です。都道府県別では秋田県の年間平均日照時間がもっとも短く(1,647時間)、山形県は5番目に短い1,737時間となっていますが、観測所単位では新庄が全国でもっとも年間日照時間が短く、1,323時間となっています(2010年までの30年間の観測値による。ちなみに全国平均は1,897時間)。
秋田美人の気象起源説として、日照時間が短く紫外線が少ないことが色白・美肌を生むのだと言われていますが、小野小町のふるさと湯沢市と隣接する真室川もひょっとしたら美人が多いのかも?少なくともキノコの生育環境には適しているようで、ほだ木に植菌して収穫する「原木なめこ」の発祥の地でもあり、今も日本でトップクラスの生産量を誇ります。
真室川町へのアクセス
現在は、町の中心部から最上地域の中核都市である新庄市の中心部まで車で約20分かかるほか、JR奥羽本線では、真室川駅-新庄駅間を約15分で結んでいます。
山形新幹線は、始発駅の新庄駅から東京駅までを約3時間半で結んでいます。新庄駅東口には大型駐車場が無料で使用できることから、数日間駐車して東京などへ出張するパーク&ライドの利用が進んでいます。
昭和の賑わいと真室川音頭
昭和初期に真室鉱山が開発され大日本帝国陸軍の真室川飛行場の建設が始まると、全国から出稼ぎ労働者が集まり町は大変賑わいました。この頃、真室川の料亭で生まれた明るい調子の「真室川音頭」は第2次世界大戦の終戦直後に自然発生的に流行し、「真室川」の知名度は全国区となりました。今も、毎年「真室川音頭全国大会」を町内で開催しています。
商業
町内には食品スーパー2店舗、ホームセンター1店舗、ドラッグストア2店舗、24時間営業のコンビニエンスストア1店舗が営業しています。商業施設の売り場面積と商品販売額は、いずれも中核市の新庄市に次いで2番目に位置するなど、最上8市町村内において比較的商業が活発である傾向が見て取れます。
町の産業紹介
古くより林業が盛んで、今も町内の森林面積(約32,852ha)は町の総面積の87%を越え、そのうち約79.8%が国有林となっています。この広大な国有林を背景に、林野庁は真室川町に山形森林管理署最上支署を置いて、最上地域一帯の森林資源の管理や活用、水源保全などに取り組んでいます。
真室川町には山形県で最多の林業事業体(植林や伐採などの林業作業を請け負う企業や組合)10社が操業している他、杉苗づくりから、植林、育林、伐採、製材、バイオマスエネルギー生産、熱利用まで、町内の事業者のみで森林資源が循環する希少な地域となっています。
農業分野では稲作が盛んです。コメの食味鑑定コンクール全国大会で優勝する生産者や、県の酒米品評会で最高賞を受賞する生産者、栽培技術の向上を目指す稲作研究会など、積極的な展開や活動が見られます。
その他、ニラ、ネギ、里芋、ブロッコリーなどの栽培が盛んで、冬期間にハウスで栽培する促成山菜(ふきのとう、タラの芽、うど、雪うるい等)も真室川らしい農産物です。
近年は生産者の高齢化や担い手問題により農業者人口が減少する一方で、集落営農や農事組合法人、農業企業がこうした田畑を引き受けたり、農作業を請け負うなどして栽培面積を広げており、農業に挑戦したい若者の雇用も見られます。
製造業では、食品加工や縫製、精密機器製造、金属パーツ製造などが見られるほか、珍しいところでは輸入大型林業用機械に日本向けカスタマイズを施す企業もみられます。
温泉入浴施設は2軒(うち1軒は宿やコテージも提供しています)、農業体験などができる農家民宿も2軒営業しています。一方で、名所旧跡に乏しいため観光業は弱いのが現状です。 ただ、鮎釣りや渓流釣り目的で仙台圏や関東圏などからリピートする方も少なくなく、シーズンになると山菜採りやキノコ採りのために山に入る人の姿も多くみられます。
町の文化施設 中央公民館
真室川町の商業エリアには、文化の地域拠点となる真室川町中央公民館があります。
650名収容可能な大ホールや、小規模サークルや習い事などで利用される研修室といった設備だけでなく、未就学児向けの子育て支援センターや、小中学生向けから大人向けまでの多種多様な書籍が揃った図書室など、多くの方々にご利用いただけるサービスが整っています。
特に、子育て支援センターは保護者の方々の息抜きかつ貴重な情報交換の場として人気がある他、図書室はここ数年で利用者が3倍に急増するなど町民から愛着をもって利用されています。
真室川のイベント
かつては山形の北のはずれの行き止まりだった真室川。冬には雪の吹きだまりとなって訪ねくる者も稀だったこの場所では、昔から大切に伝えられてきた文化・風習・風俗が息づいています。このほか、山や川などの自然資源を活かしたイベント、お祭りなどが開催されています。
4月 | 山の神勧進 | 子どもたちが集落を回り、春の訪れを告げながら山の神への寄進を呼びかける行事。中の俣地区、平岡地区、小国地区など。 |
5月 | 八十八夜お参り | 砂子沢地区。 |
真室川梅まつり | ||
梅の里マラソン大会 |
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