雪国の暮らし文化

四季を大切にする雪国の昔ながらの暮らし

かつてここにあった暮らしと
いつかここでできる暮らし

ふたつが重なればきっと見えてくる豊かな暮らし

真室川には、冬ごとに降り積もる雪に守られるようにして
雪国の暮らし文化やライフスタイル、古い郷土芸能や文化風俗が伝わり、
今も鮮やかに暮らしのなかに息づいています。

伝承野菜

翌年の稔りのためにと種を採り続けたことで、その土地の気象や土質になじむように、また農家の想いに応えるようにと姿や美味しさを変えてきた在来野菜(伝統野菜)。山形県最上地域では伝承野菜と呼んでいます。その最上地域で最多の伝承野菜が伝わっているのが真室川町。

嫁入り道具と共に町にやってきた種や、町の木材商が行商先から持ち帰った種など、それぞれにストーリーがありました。

自給用の畑を耕してきた女性が大切に種を採り、次の世代へと手渡されてきた伝承野菜たち。魅力がまだまだ知られていない、真室川の宝物のひとつです。

真室川伝承野菜図鑑の表紙
画像をクリックするとご覧いただけます
真室川伝承野菜図鑑

真室川の伝承野菜7種について、種まきから収穫そして採種まで追いかけ、生産者の想いや言葉で紹介しています。農家のおうちレシピやシェフ監修レシピも!

2020年12月発行
佐藤萌以 デザイン/イラスト/文章/写真
梶村勢至 文章/写真

冊子のダウンロードはこちらから[59.5Mb]
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狩猟採取

1962年のカンヌ映画祭ドキュメンタリー部門
グランプリ作品「老人と鷹」にて紹介され
最後の鷹匠とも呼ばれた沓澤朝治さんの生業のひとつは
厳冬期に行う鷹狩りでした。

こうした技はもう伝わっていませんが、奥深い真室川の山々は、今も野生の月の輪熊やカモシカ、ウサギなどが棲み、郷土料理に欠かすことのできない山菜やキノコ、胡桃などが豊かに実ります。
簗漁などの川漁も見られ、鮎や遡上鮭などを捕ることができます。

保存食

昔は降り積もる雪が行商人の往来を阻み、新鮮な野菜を育んできた畑の土も厚い雪の下で眠りにつくばかり。
そんな、食料確保が難しい厳しい冬を乗り切るために、先人は様々に知恵と工夫を凝らしてきました。保存食づくりと利用はその象徴かもしれません。

山から採ってきた山菜やキノコや木の実、畑で収穫した野菜を保存するために、乾燥させたり塩につけたり、煙りで燻し、発酵も駆使しして、時には厳冬期に凍みらせてしまう。

時間をかけて保存食に加工し、時間をかけて戻して調理する。そうやって目の前に出された料理から、ひょっとしたら作り手の想いや手の温もり、費やされた穏やかな時間があふれ出てくるかも。

郷土食・レシピ

季節ごとにダイナミックに様相を変る雪国の景色。真室川の郷土料理も、季節感たっぷりです。
その季節に採れるもの、保存しておいたものを駆使してこしらえる郷土料理からは、春の芽吹き、夏の命の輝き、秋の稔り、冬の温もりを感じることができます。

2010年に町が発行したレシピ本「娘に伝えたい郷土食 あがらしゃれ真室川」には、食材解説や、年中行事と食の関係、食にまつわることばも収録されており、これ一冊で真室川の多くが伝わる良本です。食を通じて、真室川の魅力が次の世代にも伝わりますように。

(真室川町役場にてお買い求めいただけます・郵送可)

手間ひまのある暮らし

雪国の料理には
「こしらえる」
という言葉がよく似合う

雪に閉ざされる厳しい冬を迎えるために
四季折々に山や川、田畑から得た食材を
塩に浸け、天日に干すなどして保存食に換える

彩りの少ない冬の食卓をどう豊かにするか
命をつなぐ食糧をどう確保するか
雪とともに暮らすために伝承されてきた知恵やわざ

塩を抜いたり、水で戻したり
料理の前の下ごしらえが欠かせない保存食
でも、そのひと手間が美味しさの秘訣
そのひと時は「美味しくなれ」と
食材に語りかける時間

雪とともに暮らすことは
時間と向き合い、季節と向き合うこと
待ちわびた雪解けの春が来たとたん
冬を迎える準備がスタートする

手間をかけ暇をかける雪国の暮らしは、
こしらえる暮らし

四季折々にこなさないといけない仕事が出てくるけれど
年年歳歳かわらずに繰り返すことに豊かさを覚え
歳歳年年あたらしく発見する気持ちの変化に感動しながら
あるいは老いを認めながら
淡々と冬を迎える準備を整える

昔ながらの雪国の暮らしには
「こしらえる」という言葉がよく似合う

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