文化の地域拠点「真室川町中央公民館」
真室川町中央公民館にはコンサートや講演会がひらける大ホールや、会議や趣味の教室等で利用される研修室、未就学児が遊べる子育て支援センター、そして図書室があります。
大ホールや研修室を利用される際には使用料等がかかりますが、子育て支援センターや図書室の本は無料で利用することができます。
さっそく公民館に入ると、玄関ホールで本を読んでいる方がいれば、趣味の教室の仲間たちとお喋りを楽しんでいる方々の姿もあり、それぞれの楽しみ方で公民館を利用されているのが分かります。
真室川町中央公民館の場所と開館時間
中央公民館は、郵便局やスーパー、ガソリンスタンドが並ぶ県道35号沿いにあります。
ただ少し奥まった場所にあるため、初めて足を運ぶ際には分かりにくいかもしれません。
車でお越しの際は、ゆっくりめに走ってみてください。
住所:真室川町大字新町233-1
開館時間:8:30~21:30
休館日:毎月第一・第三月曜日、12/29~1/3、その他館長が必要と認める日
fax:0233-62-2306
図書室は利用者急増中!
真室川町中央公民館の職員のお二人、矢口さんと大友さんに、図書室を中心に中央公民館について案内していただきました。
中央公民館図書室の利用者が急増しているワケ
3年間で利用者が3倍以上!(2020年→2022年の比較)
この素晴らしい成果は、「真室川町の人にもっと本を身近に感じて欲しい!」という、お二人の情熱によってもたらされたもの。
新庄市立図書館を利用する真室川町民が最上地域の他町村と比べてとても多かったことも、その計画を後押ししてくれました。真室川には、本に親しんでいる人が多くいるという証拠ですからね。
中央公民館の利用者がなぜ急増したのか、もう少し話を聞いてみました。
中央公民館の入口
中央公民館の入口すぐ左手には、話題の新刊の帯がずらりと掲示されています。
新刊の帯は、本の装丁デザイン以上に、本の内容や話題性を示しているパーツ。いわば、本を手に取って中身を読むための入口ですね。これが公民館の入口に飾られているというのが、まさに「本の世界」の入口になっているというニクい演出!
玄関ホール ~魅力的な本がお出迎え~
入口から入ってすぐの玄関ホールには本がディスプレイされています。
玄関ホールに収められているのは、幼児向けの絵本から、小中学生向けの流行りの小説や調べもの用の本、思春期世代等の悩みに合わせたメンタルヘルスの本や、学生向けのキャリアや進学に関する本。それから、実用本として料理やハンドメイド、旅行記、健康に関する本など。勿論、小説やエッセイなどの新刊も取り揃えてあります。
その他、夏休み期間中は課題図書や指定図書などが収められます。真室川出身の作家さんの本や真室川に関する書籍を揃えた「真室川町の紹介」コーナーもありました。
ほとんどがここ2,3年で買いそろえた新しい本で、そこには寄贈された本や、矢口さんと大友さんの二人が3か月に1回厳選する県立図書館の所蔵本が加わっているそうです。「リクエストも受け付けているので、気になる本があればぜひ教えてください」と仰っていました。
自動貸出返却機の導入で利用者増!
本に囲まれるようにして、座って本を読めるソファーが用意されています。
小さなお子さんにも優しい柔らかい素材なので、一緒に座って絵本を読んであげることもできそう。
大人向けのしっかりした机と椅子もあるので勉強にも使えそうです。
そして!玄関ホールには、利用者急増の立役者「自動貸出返却機」が設置されています。
自動貸出返却機は、小学生や保育園児が率先して動かせるくらいカンタンな機械。貸し出し作業や返却作業が面白いので、小さな子たちの利用もとても増えたんだそうです。子どもたちの「やらせて!」「やりたい!」の気持ちって、とてもパワフルですものね。
また、受付の方に声をかけずに自分で完結させられるというのも、気軽に本を借りられる要因なんでしょうね。夜間利用でも職員に気をつかうことなく借りることができそうです。
(上)小さなお子さんも扱える自動貸し出し返却機
(右上)お子さんと並んで座れるソファとたくさんの絵本
(右下)読書もよし、おしゃべりするのもよし
本のリクエストも大歓迎!
玄関ホールを左に曲がるとホンモノの図書室があります。
玄関ホールを含めて中央公民館の図書室は規模こそ小さいですが、その分、矢口さん大友さんお二人の想いのこもった空間になっています。
お二人の人柄が表れているのかとても親しみやすい雰囲気で、気兼ねなくリクエストできる距離の近さも利用者増につながっていそうです。本との出会いに困ったら「こういった本を読みたい(探している)のだけれど、ありますか?」と尋ねてみてはいかがでしょう?きっと、希望に沿ったイチオシの本を教えてくれますよ。
利用者層と時間帯
玄関ホールは、いわゆる図書館のような静謐な空間ではなく、お喋りしていい心地よく賑やかな場所にしたいというお二人。
図書室を利用する方の傾向を聞いてみました。
- 開館から午前中
-
赤ちゃんや小さなお子さん連れのお母さんたちが中心。
子育て支援センターを利用しがてら、自分たちの本や子ども向けの絵本などを借りていくようです。 - お昼から夕方
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高齢者や学校帰りの小学生たちが多い。
意見の合う人たちでワイワイ話したりしながら、思い思いの本を借りていくようですよ。 - 午後遅め
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友達同士で仲良く勉強をしたい人たちが来て、賑やかに学習を深めていくんだとか。
- 閉館時間の21時まで
-
仕事帰りの大人が中心で、自分が借りた本やお子さんが借りた本を返しに訪れたり、また、学生さんたちが親御さんのお迎えを待ちながら本を読んだり勉強をしているそうです。
中央公民館は土・日・祝日も空いているので、仕事や生活のペースに合わせてまんべんなく利用されています、ということでした。
所蔵する本について意識していること
本にまつわる情報は常に仕入れています
こうやってニコニコ語るのは、職員の矢口さん。
フリーペーパーや新聞の書籍情報だけではなく、朗読イベントや読育の研修、他の図書館の図書館便りを読んでみたり、本屋さんの売れ筋をチェックしたりと、「どうやったら本に親しんでもらえるか?」「新しいことに興味をもってもらうには?」「教養を深めてもらえるためには?」「世界の広さを感じてもらうためには?」などを考えながら、本に関する情報を仕入れているようです。
新聞の新刊情報を見て問合せてくれた方に「それなら所蔵していますよ」と応えられるようになりたいんですって!
一生懸命な姿に、本当に本が好きで、本の可能性を信じていらっしゃるのだなと思いました。本を通じて町の人たちとコミュニケーションできる素敵なお仕事ですね!
子育て中のご家族は、ぜひ子どもさんと一緒に本を探しに出かけてみてはいかがでしょうか?
きっとお二人が一緒に探してくれますよ!?
図書室としての取り組み
図書室の本は、貸し出されていくのを本棚でじっと待っているだけではありません。
こども園や保育所や小・中学校に出かけては読み聞かせを行っていて、図書室をもっと利用して欲しいとアピールをされているそうです。
また、大人を対象として、町内のあちらこちらへ出前講座として出かけることもあり、その際に特に人気が高いのが「紙芝居」なんだとか!
「紙芝居」って、いったいどんな紙芝居なんでしょう?
町の伝承文化に触れる紙芝居
真室川町には、とても豊かな伝承文化があります。番楽(ばんがく)、お囃子、わらべ歌、口承文学などなど。
著名な絵本作家としても知られる松谷みよ子さん(故人)は、真室川町の昔話を伝承している団体との交流があったことから、何度も真室川町にお越しいただいたのみならず、多くの本を寄贈していただいたそうです。
また、民俗学者・文化人類学者・国文学者として知られる野村純一さん(故人)は、パートナーの野村敬子さんが真室川町出身だったことから、真室川町の昔話の聞き取りをして何冊かの本にまとめられています。これらの昔話は、昔から口承で受け継がれてきたものですが、現在では伝えられる人が少なくなってしまっています。それでも野村さん書籍の中には残っていて、私たちも図書室で読むことができます。真室川の貴重な文化の一端に触れてみてください。
このような背景もあることから、貴重な真室川の昔話・口承文学に子どもの頃から触れて欲しいと、少し前まで「紙芝居祭り」という行事がありました。これは、昔語り(口承文学)をされている方から直に聞いた話を紙芝居にして発表するという行事。そのときの、昔語りを基にしてつくられた貴重な紙芝居が今も中央公民館に残っているんだそうです。
残念ながら「紙芝居祭り」はもう無いのですが
その時につくった紙芝居を披露するのがとても好評なんです
人気のある紙芝居の一部は、中央公民館で閲覧することができるので、興味のある方は職員さんに聞いてみてくださいね。
昔ながらの方言なので、分かりにくい言葉もありますが、小学生の書いた絵と共に楽しめる素敵な紙芝居です。伝承文学の入口としておススメです。
昔話だけでなく、真室川の子どもたちは町の様々な伝承文化を学校で教わったり、地域の保存会の方の指導を受けるなどして学んでいます。毎年11月には中央公民館で「ふるさと子ども伝承祭」を開催していて、小学生達が学んだ伝承文化をお披露目しているんですよ!
そうやって学んだ子ども達のなかから、伝承文化の若い担い手として活躍する方も出てきました。そうした方々は今では子どもを指導する立場にいます。伝承文化に真剣に取り組むカッコいいお兄さんお姉さんに憧れて保存会に入る子どももいて、かつて真室川の伝承文化を伝えてくださった先人や松谷さん野村さんらも、こうした新しい伝承の姿に喜んでくれているのではと思います。
ご自身も釜渕囃子の担い手である大友さんは、こんなことも話してくれました。
子ども達が友達同士で楽しく取り組んでいる姿を見ると、私も頑張ろうという気持ちになります
公民館まつりで大放出!
毎年10月には「公民館まつり」を開催しています。「公民館まつり」には古本市というブースがあり、図書室の所蔵期間を終えて除籍された本や、寄贈された本などが並び、誰でも好きな本をもらっていくことができます!何年か前には、有名マンガシリーズの全巻セットがあったんだとか!掘り出し物狙いで足を運んでみてもよさそうですね。
まちなか図書館
真室川町教育委員会では、まちなか図書館という取組みがあります。これは、より多くの人に本に触れて欲しいという願いから、町のあちこちに本を利用できるスペースを設けているものです。まちなか図書館の構想に賛同する町内店舗などが本を置くスペースを確保し、各店舗の個性に合わせた本を置いています。
たとえば、銀行ではお子さんが飽きないように絵本をたくさん置いてあったり、真室川駅前の「森の停車場」では待ち合わせ中に読める小説が置いてあったりします。現在は9か所にまちなか図書館が設置されています。見かけたら、どんな本が置いてあるのかぜひお立ち寄りくださいね。
左のマップに載っている店舗は下記のとおり。
真室川 森の停車場
住所:真室川町新町131-31
電話:0233-62-3099
山形銀行 真室川支店
住所:真室川町新町127-2
電話:0233-62-2531
真室歯科医院
住所:真室川町92
電話:0233-62-2058
高橋喜一商店
住所:真室川町平岡591−1
電話:0233-62-2505
理容ミウラ
住所:真室川町新町122
電話:0233-62-2104
バーバーヤマダ
住所:真室川町大沢814−6
電話:0233-63-2382
蔵ギャラリーenta
住所:山形県最上郡真室川町大沢3498
電話:080-8450-8435
安楽城保育所
住所:真室川町大沢814−14
電話:0233-63-2135
釜渕保育所
住所:真室川町大字釜渕383−16
電話:0233-65-2813
大ホールと研修室の利用について
中央公民館の大ホールや研修室は、町民の様々な文化活動等に利用されています。
たとえば、大ホールの舞台では、コーラスサークルや舞踊の会が練習をしていたり、研修室では英会話等の勉強会や詩吟サークルの練習等に利用されていますよ。
それぞれのスペースの情報は下記のとおりです。
使用料は、非営利として利用する際の料金です。
部屋 | 1時間あたりの使用料 (9時~17時/17時~22時) | 備考 |
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大ホール | 1,800円 / 2,050円 | |
大ホール(舞台のみ) | 1,230円 | |
研修室 1 | 460円 / 610円 | 110㎡ |
研修室 2 | 150円 / 300円 | |
和室1,2 | 150円 / 300円 | |
茶華道室 | 150円 / 300円 | |
調理実習室 | 250円 / 510円 | |
ホワイエ | 250円 / 510円 |
上記の料金の他に、冷暖房を利用する際や、映写機やマイク等の備品使用、また、営利目的で利用される際には別料金が発生しますので、料金詳細や空きスケジュール等は中央公民館にお問い合わせください。
芸術文化協議会に入っている個人や団体の場合は、上記使用料が無料になります。
(協議会への参加には、個人は年会費1,000円・団体は年会費4,000円が必要です)
子育て支援センター
中央公民館の1階にある「子育て支援センター たいよう」は、こちらの記事で紹介しています。
子育てについて相談に乗ってくださったり、お子さんと一緒に遊んでくださる先生も素敵な方々ですよ。
図書室をご利用の際には、ぜひ足を運んでみてください。
中央公民館や図書室の今後の展望
いまの時代は、本や新聞、雑誌だけでなくインターネットやEブックなど、様々な媒体で文字に触れることができ、想像力を無限に膨らませていくことができます。その一方で、好きな情報だけに触れ続けて偏ってしまう可能性もあります。
そんなときには「私たちは本の虫かもしれない」と自称する矢口さんと大友さんのお二人におススメ図書を聞いてみると、いつもとは違う想像力を与えてくれるかもしれません。埋もれてしまっている昔の名著なんかも教えていただけるかもしれませんよ。
ゆくゆくは、コーヒーを飲みながら本を読めるくつろぎ空間や、お母さんとお子さんが寝っ転がりながら本を読めるやすらぎ空間、小中学生が勉強できるスペースをもっと増やしたり、「もう帰りたくない!」と思ってもらえるような心地よい空間にしていきたいと、お二人は何度も仰っていました。
心地よい空間づくりに興味がある方は、おふたりに是非声をかけてみてください。
利用者急増中の真室川町中央公民館にぜひ訪れてみてくださいね。