ママさん達に聞いた、真室川のリアルな子育て事情
子育て真っ最中のママさん3名をお招きし、真室川での子育てについてお話ししていただきました。
現在真室川で子育てをしている方や、地方への移住を検討中で、真室川の子育て環境が気になる方に読んでいただけたら、少しヒントになることがあるかもしれません。
子育て座談会の動画はコチラ
子育て座談会
今回の座談会は、事前にお伝えした質問への回答を準備していただいたうえで、それらを発表してもらいながらセッションを進めていきました。
お話ししてくださった方々のご紹介
まず、今回の座談会に参加してくださったのは、こちらの3名です。
- 真室川に来て12年目
- お仕事:保育士
- お子さん:小学3年
- 真室川に来て9年目
- お仕事:デザイナー・農業
- お子さん:小学1年、2歳
- 真室川に来て5年目
- お仕事:児童指導員・農業
- お子さん:5歳、3歳、0歳
質問① 子どもさんが伝承文化に触れる機会はありますか?
真室川町には伝承芸能「番楽」や「童歌」、地区地区に伝わる風習風俗や保存食文化、郷土料理など、様々な伝承文化が守り伝えられています。
でも、実際に、今の現役世代にはこうした伝承文化に触れる機会はどれだけあるのでしょうか。
3人から返ってきた答えは?
回答① お兄ちゃんお姉ちゃんから受け継ぐ伝承芸能
平枝という地区に住んでいるのですが、この地区には平枝番楽というものが残っていて、積極的に子供たちが関わって引き継いでいこうとしています。
番楽(ばんがく)とは、秋田や山形の鳥海山山麓一帯で継承されてきた伝承芸能で「山伏神楽」とも呼ばれています。
真室川町では、既に途絶えてしまった番楽もありますが、平枝地区のほか、釜淵地区と八敷代地区で継承されています。
平枝地区には子どもたちだけで演舞する「平枝少年番楽」があり、積極的に伝承に取り組んでいます。
しかし、幸恵さんのお子さんはまだ小さくて練習に参加できないので、お兄ちゃんお姉ちゃんたちの活動を憧れのまなざしで見ながら、まねっこして遊んでいるんだとか。将来が楽しみですね!
近所のお兄ちゃんお姉ちゃんと関わりあえるというのも田舎ならではですが、それ以上に、子どもたちがお兄ちゃんお姉ちゃんに憧れながら伝承文化に触れていくのもとてもいいですよね。
そうやって伝わっていく伝承文化だからこそ価値があるように思います。
回答① 普段の食卓に上がる伝承野菜
伝承野菜がきっかけとなって結婚し真室川にやってきた佐藤さん。
やっぱり、子どもたちの食卓にも伝承野菜が当たり前のように並ぶそうですよ!
他の食材も色々と食べて、自分のところの(野菜の)良さを知ってほしいなと思います
真室川町のある最上地域では、代々守り伝えられてきた在来種を「最上伝承野菜」と呼んで、次世代への継承や利活用に取り組んでいます。なかでも真室川には最多の伝承野菜が伝わっているほか、栽培農家らで構成する「伝承野菜の会」が伝承野菜の遺伝的特性を保全するために種の管理を行っています。
同会の会員でもある佐藤家は、伝承野菜「甚五右ヱ門芋」の栽培農家ということもあって、普段の暮らしのなかの食卓に当たり前のように伝承野菜があがっている様子。作るのも、種を守るのも、発信するのも伝承野菜の保全に繋がりますが、食べることが一番の保全かもしれませんね!
「色んな食材を食べるなかで、自分の家の野菜の良さを知って欲しい」という衣利子さん。食べることを通じて得られる学びもたくさんありそうですね。子どもさんも、将来伝承野菜の担い手になるのかな?
回答① 三世代同居で親しむ保存食文化
続けてお話を伺ったのは、こちらも伝承野菜も栽培する農家に嫁いだ髙橋さん。
三世代同居をされているので……
畑で採れる伝承野菜や、おばあちゃんが作る保存食を日常的に食べています
深い雪に覆われる冬。
その厳しい冬を乗り切るために、昔は1年かけて知恵や工夫をこらして冬を迎える準備を整えなければなりませんでした。
保存食もそんな知恵のひとつで、季節ごとに山や畑、川から得た食糧を塩蔵にしたり乾燥させたり、発酵や燻すなどして保存食に加工します。食べるためには、また時間をかけて水で戻したりと時間も手間もかかります。
髙橋家では、扶紀さんのお義母さまが保存食を作っていて、食卓にも保存食をつかった郷土料理作が並ぶのだそうです。
今は子育てに追われる扶紀さんも、ゆくゆくはご自身でも保存食や郷土料理を作ってみたいと仰っていました。地域の食文化は、その多くが親から子へと家庭内で伝承されてきたもの。髙橋さんには多くを学んで欲しいなと思いました。
髙橋家では、お住まいの平岡地区で昔から親しまれてきた年中行事や風習を、今も大切に行っているそうです。町外から嫁いできた扶紀さんの目には今もまだ新鮮に映っているそうですが、子どもたちにとっては当たり前の光景になっているんだろうなと感じているとのこと。子どもたちには大人になっても忘れずに、次に繋いでいってくれるといいなと思っているそうですよ。
一方で、扶紀さんのお話しを聞いていると、三世代同居だから受け継ぐことができるものも沢山あるのだなと気づかされました。豊かな文化を後世に伝承していくためにも、新しい三世代同居の家庭像、モデル像を創れるといいですね!
質問② 子どもさんが自然と触れる機会はありますか?
田舎暮らしを希望される方のなかには、自然豊かな環境で子育てをしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
では、真室川町での子育てで自然に触れる機会ってどれくらいあるのか、3人に聞いてみました。
回答② 家の外に連れ出されて一緒に遊んでいます
いつも子どもから「外行こう!」って言われて一緒に遊んでました。
やっぱり自然のなかで遊んでいると、「次は何して遊ぼうかな」と考えて遊べるようになるのかなと思います。
幸恵さんの、子どもが自分で「何して遊ぼうかな」と考えながら遊んでいるというのは、とても印象的な言葉でした。
おもちゃやゲーム、アニメや動画などの鑑賞はとても楽しい一方で、遊び方への工夫が少なく済んでしまうかもしれません。そんな中、「次はどうやって遊ぼうかな」と、子どもの想像力を掻き立ててくれる自然がすぐに歩いていけるところにあるというのは、子育てするのには素晴らしい環境なのだろうなと思いました。
自然に触れることで想像する力を磨き、様々なことに関心を持ってくれるようになるといいですね!
回答② 家のすぐ近くで見られる魚や野生動物を観察しています
続く衣利子さんは、「日常茶飯事のことですが」と話し始めてくださいました。
家の前にある川で魚をみたり、野生の動物を観察しては、観たものをすぐに図鑑で調べています
佐藤家のすぐ近くに流れている川に、浅瀬になっているところがあるそうで、そこへ出かけては遊んだり魚の観察をするそうです。
また、家にいれば庭にウサギがやってくるし、車で走ればキツネやタヌキなどもよく見かけるそうです。
そして、目にした野生動物について、すぐに図鑑をもちだして調べることができるのも、それだけ野生動物に出会う機会が多いということなのでしょうね。豊かな自然のなかでそうやって観察眼を養って、自分が住む地域のことをよく知ってくれるといいなと思いました。
子どもが楽しんで観察しているというのは、次にお話ししてくれた扶紀さんも同じでした。
回答② 庭の果物の成長を気にして、自分で収穫(味見?)しています
庭先や農業用ハウスの果実を、子どもが自分から見に行って気にしているところを見ると「あぁ、なんかいいなぁ」って思います
庭の畑で育てるイチゴやブルーベリー。
子どもは、いつ食べられるようになるのか気になるでしょうし、その時が来たと思ったらきっと勝手に採って食べちゃいますよね!私もそうでした!笑
そんな子どもを見て扶紀さんは「まだ熟してないのに勿体ない!」と思うこともあるようですが、それも経験のうち。止めずにやらせてあげるという扶紀さんの姿勢も素敵だなと思いました。実体験にもとづく知識は、子どもの長い人生のなかでずっと消えずに残ってくれることでしょう。
扶紀さんはまた、真室川の温泉宿泊施設「まむろ川温泉 梅里苑」に隣接する公園で子どもを遊ばせることもあるそうです。
梅里苑の「体験の森公園」には、木製遊具が設置されている(冬期間は閉鎖)ほか、敷地内のブナ林の下を走るトロッコ列車に乗ることができます。
このトロッコ列車は、昭和初期に、奥山から切り出した材木を運びだす森林鉄道の当時の車両で、今も現役で修理しながら元気に走っています。冬を除く土日に、一人100円で乗ることができるんですよ!
真室川へお越しの際は、梅里苑の温泉とセットでぜひ公園にも足を運んでみてくださいね。
質問③ どんなに子どもに育って欲しいですか?
この質問への回答は共通項がとても多くありました。
- のびのびと育って欲しい
- 他人の気持ちが分かる子
- 言いたいことがきちんと伝えられる子
- 真室川町が好きな子
コロナ禍もあって窮屈になってしまいがちな昨今ですが、広々と空間を使える真室川町・最上地域だからこそ、のびのびと育って欲しいというというのは皆さん共通の願いなのかもしれないですね。
「あまり口出ししないようにしていますが、ついついガミガミ言ってしまう」とポロっと本音が漏れたとき、皆さんがそれぞれ頷いていたのが印象的でした(笑)
質問④ あって良かった町の子育て支援施策は?
真室川町では、子育て支援として様々な事業を行っています。
上記リンク先に様々な支援事業を記載していますが、実際に「助かってる」と実感されている事業はあるのでしょうか?
リアルな声を聞いてみました。
こちらも、皆さん共通して金銭サポートに助かってますという回答がでてきました。特に挙げられたのが下記の支援策。
- 保育料支援
- 医療費無料化
- 給食費支援
- 家庭保育支援金
今回の座談会は、特に出生後~小学校低学年のお子さんをお持ちの方々の意見でしたので、小学校中学年以降や中学生・高校生のお子さんをお持ちの方にお話を聞いてみると、また違った意見が出てくるかもしれません。
また、既存の支援だけでなく、「もっと小さいお子さんが預けられる施設があったら」「任意の時間に子どもを預けられるサービスがあって欲しい(利用しやすくしてほしい)」という意見もありました。
金銭サポート以外にも、未就学児とその家族が利用できる「子育て支援センター」や、同センター主催のベビーマッサージなどのイベントで子育て中のママさん達と交流しながらリフレッシュしていますという声も挙がりました。
子育て視点からみる真室川の良さ
最後に、これから真室川町で子育てされる方や移住してこられる方に向けて、アドバイスをお願いしました。
自然の中で子育てをしたいという方におススメ
どこに行くのにも実はアクセスがいいですよ!
幸恵さんによれば、ちょっとしたお買い物は隣りの新庄市など町外まで出かけなくちゃならなくて不便という人もいるけれど、お休みの日に外出しようというときに、真室川は意外とどこに行くのにもアクセスしやすいのだそうです。
海へ行こうと思えば、峠をひとつ越えれば庄内の日本海まで1時間ほどで着いちゃうし、山形市へ出るにも1時間30分ほど。隣接する秋田県にもすぐに行けちゃうと話してくださいました。
1時間と聞くと少し長く聞こえるかもしれませんが、自家用車での移動が前提の農山村で暮らしているから車での移動はそれほど苦痛でないということなのかもしれません。そう考えると、普段は自然の中で子育てしながら、四季折々に休みを使って色んなところに気軽に出かけて行けちゃう真室川での暮らしもメリハリがあっていいかもしれませんね。
幸恵さんに続いて、衣利子さんは同世代の農業者が増えて欲しいなとお話ししてくださいました。
これから農業を辞めていくおじいちゃん、おばあちゃんの田んぼや畑が出てきます。米づくりや果樹など、農業をやってみたい人にとっては田畑を借りやすくなるのかなと思いました
衣利子さんの夫である佐藤春樹さんは、伝承野菜「甚五右ヱ門芋」などを栽培する農業会社を経営されていて、人材も募集していらっしゃいます。新規就農や春樹さんの会社で伝承野菜の栽培を担う若い農業者が増えるといいですね!
この座談会を通して、一貫して食が大切だという思いを伝えてくださっている扶紀さんは、このように話してくださいました。
真室川町は、自然が多くて食べ物も美味しいし、食育もできるので、自然豊かなところで子育てをしたいとか過ごしたい方には、すごくおススメな町だと思います
食べ物が美味しいというのは、僕も大賛成です。
真室川駅の駅舎内にある産直「森の停車場」やスーパーの産直コーナーには、真室川町や近隣町村の農家さんが収穫した採れたての旬の野菜等が並びます。
山や川からは春には山菜が採れヤマメやイワナも獲れますし、夏は鮎が、秋には舞茸やナメコだって採れちゃいます。自分で収穫したものは気合い入れて料理したくなるから不思議だし、きっと3割増しで美味しく食べられますよ。
お米も蜂蜜も果物も!季節季節に次々と旬がやってくるのは田舎の特権ですよね!また、冬を迎えるためにつくる保存食や手間ひまかけてこしらえる郷土料理も絶品です!こうしたものが簡単に手に入ったりお裾分けで回ってくることもあるので、その都度豊かさを実感しています。そう考えると、確かに真室川には食育の機会が山ほどありますね!
最後に
今回の座談会は、お子さんの同伴もOKとしましたので、とても賑やかな会となりました。
子どもたちは終始賑やかにはしゃいで走り回ってくれましたよ!笑
しっかりのびのびと育っているなぁと思いながら、この子たちのお母さん達が望むように、これからものびのびと個性と可能性を伸ばしていける真室川町であるように、自分ができることをしていきたいなと思いました。
参加してくださったママさんたちからは、(コロナ禍でも)子育てサポートセンターや健康診断などでママ達と顔を合わせることはあるけれど、それぞれの子育て事情や町への想いなどを互いに聞けてよかったと感想をいただきました。
「真室川のこんなことが知りたい!」という方がいらっしゃったら是非お知らせくださいね。なるべくここで取り上げていきたいと思っています。
動画制作 家崎耕平
構成・編集 梶村勢至