「釜淵地区×JAL=?」山形県の企業版関係人口創出事業_実施レポート

2025年2月6日から8日の3日間、日本航空株式会社事業開発部MaaSグループの9名が来県され、7日と8日の2日間にわたって真室川町釜淵地区で雪国の暮らし体験や釜淵地区住民らとの交流を楽しまれました。
これは、山形県みらい企画創造部移住定住・地域活力創生課と、山形県農林水産部農村計画課が協働して実施する企業版関係人口創出を目的に実施する事業の一環として行われたものです。
本稿では、2月の交流に至るまでの経緯も含めてご紹介します。
山形県事業の概要
本事業は、2つの課が連携して実施する珍しい座組のもと実施されました。
それぞれの事業の概要は下表の通りです。
担当部署 | 山形県みらい企画創造部 移住定住・地域活力創生課 関係人口創出拡大担当 |
事業名 | 令和6年度 地域・企業共創による関係人口拡大モデル事業 |
事業の目的 | 地域活力を持続的に創出するため、地域課題を有する地域等と地域貢献・新ビジネス開発・多様な働き方の推進などの面で地方に関心のある都市部企業等とを「関わりしろ(地域課題等)」で繫ぎ、地域に行く側と地域に向かえる側がwin-winの関係性を築くモデルを構築し、関係人口の創出・拡大・深化の実現により、地域の内発的発展を促進する。 |
事業の内容 | 〇地域が有する資源や課題を都市部企業のニーズに適したカタチ(関わりしろ)へブラッシュアップ 〇都市部企業等とのマッチング 〇地域課題の解決に向けた取り組みのフォローアップ(協働活動の自走化に向けた伴走支援) |
事業内容 | 農村地域(真室川町釜淵地区、尾花沢市中刈地区、鶴岡市温海地区)と都市部企業をマッチングし、地域住民との継続的な協働活動により新しい地域活力を生み出していくことを目標に、企業版関係人口としての関係構築を図る。 |
委託事業者 | 株式会社パソナJOB HUB(東京都港区) |
担当部署 | 山形県農林水産部 農村計画課 |
事業名 | 農村地域(真室川町釜淵地区)と企業とのマッチング支援事業 |
事業の目的 | 企業との協働による地域課題の解決や地域の活性化を目指し、企業とのマッチングから協働活動に至るまで地域に寄り添い、伴走支援を行事により、地域の葉って・維持に向けた取り組みの促進を図る。 |
事業の内容 | 〇企業とのマッチングに向けた地域課題の抽出 〇企業との良好な関係構築のための地域住民の理解醸成 〇企業の地域理解に繋がる活動 〇地域側の伴奏者として企業との関係構築を支援 |
委託事業者 | 一般社団法人雪と暮らし舎(真室川町) |
フィールドワーク受入れまでの釜淵地区での活動
受入れ主体として想定していた釜淵番楽保存会のメンバーを対象に事業の説明を行いました。
協議の結果、釜淵番楽保存会が受入れ主体となり、釜淵全区に協力を仰いで受け入れを行うことを確認しました。
また、5/1には釜淵の各区長や関係者にも参集いただき、同様に事業説明を行いました。
釜淵一区公民館を会場に、参加者15名を得てワークショップを開催しました。
ワークショップでは「将来の釜淵地区が元気になる取り組み、自分たちが楽しくなる取組み」についてアイデア抽出を行いました。
参加者から特に評価の高かったアイデアは次の通りです。
〇昔のようにホタルが舞う水田の復活とホタル観賞のイベント開催
〇釜淵産の良食味米を用いたビールや酒・特産品の開発
〇コロナ禍以来途絶えている「行灯番楽」の復活や、郷土料理の継承

都市部企業とのマッチングを進めてくださる株式会社パソナJOB HUB様から3名が来町され、釜淵地区への理解を深めていただくよう、意見交換や交流、視察を行っていただきました。

釜淵番楽の定例の練習会を見学していただきました。見学後はそのまま交流会へ!
このほか、水田や伝承野菜の圃場の見学、釜淵駅周辺散策、歴史民俗資料館見学などを行いました。
株式会社パソナJOB HUB様のコーディネーションにより、日本航空株式会社イノベーション本部事業開発部MaaSグループ様とのリモートによる面談を行い、お互いの希望を交換したうえで無事にマッチングすることができました!
関係構築を目的に釜淵番楽保存会の若手メンバー2名と共に上京し、JAL Innovation Lab(品川区)にて日本航空株式会社MaaSグループの皆さまと2月のフィールドワークに向けた顔合わせと打合せをおこないました。

釜淵番楽保存会、釜淵囃子保存会、各区長などに参集いただき、交流会の実施に向けた情報交換および交流会の内容や役割分担などについて協議検討を行いました。
フィールドワーク受入れ 2/7~8
フィールドワークの1カ月前は雪が少なく、折角雪国に来ていただくのだからと「新鮮な雪が欲しい」と言っていたものの、日にちが迫ってくる中でメディアを騒がせ始めたのが「今季最強寒波の襲来」…
みごとに日程が被り、フィールドワークの延期や準備していた行程の見直しも検討したなか、大雪に関わらず無事に皆さまをお迎えすることができました。
雪国の暮らしの「厳しさ」を体験して欲しいと、釜淵地区内の独り暮らしの老人宅で除雪体験をしていただきました。

参加者からは「良い運動になるし楽しかったけど、これが毎日毎朝だと思うと、やれる自信はないかも」という声も。
除雪先の女性から泣いて喜んでもらったというエピソードもあったそうです。
なお、体験先の確保には釜淵4区区長様、除雪の指導や道具貸与には真室川町社会福祉協議会様にご協力いただき実施することができました。
交流会の前に、皆さんでごっつぉ(ご馳走)づくりに協力いただきました。
地元の女性陣が先生役となり、皆さんに作っていただいたのは、「納豆汁」と「くるみ餡のおはぎ」です。
共同作業でぐっと距離が縮まりますね。
ちなみにどちらも美味しくできました!

釜淵地区多目的総合施設に日本航空株式会社の皆さんをお迎えし、総勢70名を越える大交流会を開催しました。
コロナ禍前まで毎年2月上旬に当地区で開催されてきた地域行事の「行灯番楽」に倣った交流会で、地区の女性らが準備してくださった郷土料理を味わいながら、釜淵番楽や釜淵囃子を鑑賞しつつ地区住民らとの親睦を深めました。


田畑が雪に埋もれる冬期間でもできる農業として、真室川で盛んに栽培されてきた促成山菜の圃場を見学していただきました。

鏡沢地区の栗田幸典さんのビニールハウスにお邪魔し、雪うるい、タラの芽、ウドを見学しました。初出荷まであと1週間というタイミングでしたが、雪国の冬の農業の一端を垣間見ることができたのではないでしょうか?
担い手が少なくなっている促成山菜栽培ですが、「農業が好きだから続けている」と栗田さんは語ってくれました。
いきなりの初日の除雪体験で雪国の暮らしの厳しい一面を見ていただいたので、次は雪の楽しさも体験していただきました。
釜淵の若手農家さんらが田んぼ(冬期間は雪原に!)の上で楽しんでいるスノーモービルを運転していただいたり、バナナボートで楽しみました。
雪遊びのあとは、地区の女性陣が用意して下さった手づくりの甘酒などをご馳走になりました。


山形の昔の農家さんは、雪に覆われる冬は林業に従事したり、木工やわら細工などの手仕事をして稼いだそうです。
そんな暮らしに想いを馳せながら、わら細工づくりを体験いただきました。
町内平岡で、春から秋にかけて伝承野菜など100種類以上の野菜を作り、冬はわら細工を制作している工房ストローの髙橋伸一さんを講師にお招きし、猫のオーナメントづくりに挑戦しました。
難易度の高い猫のオーナメントでしたが、全員無事に完成されて、旅の思い出とともにお持ち帰りされました。

フィールドワークの締めくくりに振り返りのワークショップを開催しました。

釜淵番楽保存会の皆さまも加わり、それぞれの感想をシェアしたほか、今後釜淵地区で出来るコト、やりたいコトを発表しました。

フィールドワークのその後に向けて
日本航空株式会社MaaSグループと釜淵地区の皆さんとの関係構築は始まったばかりです。
日本航空株式会社のMaaSグループでは、皆さんで話し合いの場を設けていただいて、釜淵で何ができるのか、釜淵地区が本質的に望むゴールは何なのかなど真剣に検討いただいているそうです。ありがたいことですね!
山形県事業の狙いとしては、地域と企業が協働活動を行って新しい地域活力を創出することでしたが、私たちもこのご縁が5年10年と続き双方にとって得るもののある関係となるよう引き続き伴走して参ります。
また、真室川町内において、地区住民などとこうした協働関係を構築したい企業や教育機関などいらっしゃいましたら、ぜひお問合せください。課題先進地のどの農山漁村も、こうした協働を必要としています。