踊りで国際交流をする人たち:西崎新流緑華会
本稿は、「真室川での暮らしを楽しんでいる人」を紹介する企画の第四弾です。
真室川町は言わずと知れた?「真室川音頭」発祥の地。真室川音頭の伝承に取り組む2つの団体が活動しています。
ではありますが、「日本舞踊」を楽しむコミュニティーも複数活動しているんですよ!
そんな日本舞踊を楽しむ人たちが台湾から民俗舞踊の先生を招き、新しい踊りの習得に挑戦するというので取材してきました。
日本舞踊を楽しむ人たちの挑戦の様子をまとめてみました
真室川町の日本舞踊コミュニティ
真室川町には、町内で活動している日本舞踊の団体が3つあるのですが、今回、台湾の先生を招聘したのは、そのうちの一つ。民間団体が自分たちのチカラで国際交流をしちゃうなんて、「すごいモチベーション!」とびっくりしちゃいました。
西崎新流緑華会
こちらの会は昭和53年に初代の先生が真室川で教室を開設。
その後、民謡を主として、古典から新舞踊、流行の唄に合わせた踊りなど幅広い舞踊活動をしています。
練習は、週一回。毎週火曜日の19時から21時に総合体育館で行っていますが、各発表会や演目に合わせて練習日や場所が変わることもあるそうです。個性あふれる3名の先生が、演目に合わせてそれぞれ指導をされているんだとか。
練習を重ねて習得した踊りは、真室川町民芸術祭や婦人芸能祭、その他にも新庄市などで披露しているそうです。
普段は、先生と生徒さんという立場ですが、今回の国際交流では、3名の先生方も、生徒さんたちと一緒に全員で新しい踊りの習得に臨まれていましたよ。新しいことに対して一緒になって学ぶという姿勢は、生徒さん達にとって、親しみと信頼感のとても高い先生方なのでしょうね。
今回学んだ新しい踊りも、普段の日本舞踊と一緒に、町民芸術祭でお披露目することを目標として企画したものと伺いました。
お招きした民俗舞踊の先生
国際交流として、台湾からお越しくださったのは、陳翊蕓(CHEN,YI-YUN)先生。
陳先生は、西崎新流緑華会に所属されている方のお姉さんで、台湾で43年(2023年現在)、舞踊の先生をされているそう。
これまでも何度も来日されており、主に沖縄で舞踊の指導をされてきたそう。山形県には今回初めて訪問してくださったそうですよ!
陳翊蕓(CHEN,YI-YUN)先生プロフィール
1963年台湾台北生まれ
1980年に17歳でダンスに触れ始める
台湾の有名舞踊家、江美圓教授に学び、民族舞踊と民俗舞踊を専攻
- 江棻民族舞踊団 舞踊助教
- 高齢芸術民族舞踊団 民族舞踊主任,民俗舞踊講師
2004年より世界各国へ愛を届ける
- マレーシア
- ニュージーランド
- アメリカ(ニューヨーク)
- 日本(東京,沖縄)
民俗舞踊を習う集中講座
陳先生から指導を受けられるのは3日間の計8時間だけ。
初日と二日目は、それぞれ異なる1曲を教わり、最終日に両方をおさらいするというなかなかハードなスケジュールです。
「みんな、踊りが上手なプロだから大丈夫大丈夫!」
先生からそんな檄を飛ばされながら、着実に踊りを習得していく皆さん。
それまで親しんできたのとは全く違う踊りを、通訳を介しながら3時間で1曲ずつ、しかも連日学ぶとなると、覚えるのも体力も大変そうだと取材しながら思いました。それでも3日目の最後には2曲をさらりと踊れてしまうのですから、皆さんの“踊り”への情熱がどれだけのものか見せつけられたようでした!
足さばきの違いから戸惑った初日
初日に習った踊りは、踊り手が一体となって全体美をつくっていくもの。
はじめは日本舞踊とはまったく異なる調子や立ち居振る舞いに戸惑っていた皆さん。それでも徐々に慣れてきたのか、素人目にもぎこちなさが減っていくのが分かりました。
扇子の大きさも使い方も違うので、手首が疲れますね
足さばきも日本舞踊と違うので癖が抜けないかもしれません(笑)
踊りを通じた国際交流は、所作の違いからお互いの文化の違いを認めたり感動を共有する機会になっているように感じました。その一方で、ひょっとして日本舞踊の所作についても見つめなおす機会にもなっているのかもしれないと思いましたが、どうなんでしょうね?笑
飛び跳ねた二日目
二日目に習った踊りは、生命力あふれる力強い動きが特徴的な踊りです。
台湾の原住民のなかでも最も人口が多いアミ族の踊りからヒントを得たもの、ということでした。
(日本では「先住民」と表記されるのが一般的ですが、台湾では「原住民」が用いられているそうです。陳先生も原住民と仰られていたので、本稿でもこちらの表記を用います)
木登りや岩登りが得意という原住民の力強さをあらわす踊りなのだと説明されていましたが、飛び跳ねるような動きが多く、案の定皆さん苦労されていました。
更に苦労されていたのは最後のキメのポーズ。
ワイルドでアクロバティックな初案は諦めることになりましたが、陳先生が全体を観ながら再構成されていきました。
どのようなキメになったかは、ぜひ町民芸術祭でご覧いただきたいです。
「今年は、いつも披露している日本舞踊のほかに今回の踊りもあるから、覚えることがいっぱいで大変!」という声も挙がっていましたが、皆さんとても楽しそうにキラキラしていましたよ!
自分たちの国際交流
今回の国際交流は行政主導で行われたものではなく、民間団体の自主企画として実現しました。
台湾から民俗舞踊の先生を招聘した今回の試みは、国際交流としては規模の小さなものかもしれません。それでも、共通言語としての踊り・芸能を通じた「自分たち」の交流は密度が濃いんだなぁと感じました。
たまたまですが、陳先生が真室川に滞在されていたのと同じ時期に、山形の吉村県知事も台湾を訪問されていました!
町内のスーパーで売られている台湾産の果物も目に入ってくるようになるのですから面白いものですね。取材していた私でもい台湾との距離が縮まるのを感じたくらいですから、きっと民俗舞踊を習った皆さんはより深く台湾に親しまれたことと思います。
山形県の北端の山村・真室川町にも、自分たちのチカラで国際交流をしている人たちがいました。
人口減少が続く山村にあって、こうして元気に活動するコミュニティがあるというのは素敵なことです!
踊りを通じた異文化交流という、貴重な体験をさせてもらいました。初めての試みでしたが、もしかしたらこれから定例になるかもしれません!
ぜひ実現して欲しいですね!
踊りを教わりながら、食を通じた交流などにも広がっていくと新しい出会いも生まれそうです。
真室川町で日本舞踊を楽しむ
冒頭でも挙げたとおり、真室川町には日本舞踊を楽しむコミュニティが複数あります。
町内にお住まいの方だけでなく、町外の方や移住を検討されている方の参加や見学も大歓迎だそうですよ。
町民芸術祭などの発表を観に行くものいいかもしれませんね。
練習日や連絡先など
西崎新流緑華会
今回取材させていただいた西崎新流緑華会の連絡先や練習日、場所などはこちらのとおりです。
気になる方は、真室川町民総合体育館で練習スケジュールを確認のうえ、直接練習会場へお出かけください。
見学のみでも構わないそうです。
- 練習日
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毎週火曜日 夜7時から夜9時(約2時間)
- 練習場所
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真室川町民総合体育館
住所:真室川町大字新町945 - 連絡先
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真室川町民総合体育館
開館時間:8:30~21:30
電話:0233-62-3411
西崎新流緑華会(にしざき しんりゅう りょくはなかい)について、とお問い合わせください
和服や扇子などの選び方や着付けなどの初歩的なことから優しく教えてくれるそうです。
真室川に住み始める際、民俗舞踊の「真室川音頭」や日本舞踊のコミュニティに入ってご縁を広げるのもいいかもしれませんね!
真室川音頭のコミュニティ
代表者:佐藤弦月さん
練習日:毎月第1日曜日と第3日曜日
今後も、まむろ暮らしを楽しんでいる人を紹介していきます
真室川での暮らしを楽しんでいる人を紹介する本稿はいかがでしたか?
今後も「まむろ暮らし」では、小さな町だからこそ繋がれる人を通じて、真室川のことを紹介していきたいと思っています。
移住や定住には、自分がやりたい実現したいと思っていることを教えてくれる先輩や、実現に向けて取り組んでいる仲間と繋がれることも大事です。
「真室川に〇〇な人はいませんか?」というお問い合わせがあれば
該当する方がいれば積極的にご紹介したいと思います。
本稿と同様に、記事にして紹介もしていきたいですね!
まむろ暮らしをキッカケにして様々なご縁が生まれたら、とても嬉しいです。
取材・動画制作 家崎耕平
編集 梶村勢至