第2回まむろ暮らしオンラインツアーを開催しました
6月19日に、2回目のオンラインイベント「梅ちゃんとつくる、うんめぇ!ミズ汁の会」を開催しました。
オンラインツアーにご参加いただいた皆さま、開催にあたってご協力いただいた方々に感謝申し上げます。
ありがとうございました。
プロローグ ~ミズ汁と「旅のBOX」のこと~
初夏の6月。
オンラインツアーのテーマを検討する会議の冒頭、「やっぱりミズ汁だよね?」と、議論の余地もなくあっと言う間に決定してしまいました。
山形の6月と言えばサクランボが定番ですが、食卓に上がるミズ汁だって「山形の初夏を彩るソウルフード」と言っても過言ではないのではと意見の一致を見たのでした!
だって、ネバとろっとした食感とサッパリした風味のミズに、塩クジラの旨味がたっぷり入ったミズ汁ですよ。
梅雨寒の日も、ジメジメ蒸し暑い日も、山形県人の胃袋に優しくスルスル、油断するとガツンと無限に入ってしまいそうになるほど「ぅんめぇ」郷土料理なのです。
講師は「やっぱり梅ちゃん!」
講師役も「やっぱり梅ちゃんにお願いしたいよね!」と即決。梅ちゃんこと藤山梅子さんもふたつ返事で快く引き受けてくださいました。
実は梅ちゃんは、3月の「梅子ばーちゃんとつくる、うんめぇ納豆汁の会」で講師を引き受けてくださっていたのですが、この時は事情により急遽降板せざるを得なかったのです。だから僕らも梅ちゃんもリベンジの機会を窺がっていたのでした!
事前に行ったリハーサル(写真右)でも、絶好調だった梅ちゃん。カメラを嫌がるお母さん方が多いなか、こうして積極的に引き受けてくださる梅ちゃんには、いつも助けられています。
「旅のBOX」食材紹介
ツアー前日に、料理体験で使う食材などを入れた「旅のBOX」が参加者の手元に届くよう手配しました。
ここでは、その中身の一部を紹介します。
まずは、細竹の缶詰。
笹竹や根曲がり竹などとも呼ばれる「細竹」ですが、真室川町及位(のぞき)の佐藤商店の缶詰を使わせてもらいました。
難読駅名で有名な及位で、明治年間から地域密着のお店を開く佐藤商店は、食品や雑貨、化石燃料を商っているほか、食品加工工場で山菜や原木なめこ、山ぶどうなどの地域食材を用いた缶詰や瓶詰を製造販売されています。
レトロなパッケージで、昔ながらのシンプルな製法で作られる佐藤商店の商品は、全国の常連のお客様の根強い支持に支えられています。
仕入れのために訪ねたこの日は、地元の人から頼まれたという細竹の委託加工(瓶詰)の作業中でした(写真左)。
中身を持参すればなんでも缶詰にしてくださるそうなので、自分だけのオリジナル缶詰を作ってもらうのもいいかもしれませんね!
そして肝心のミズは、せっかくならと梅ちゃんが自宅の裏山から採ってきてもらったミズを送ることに!
梅ちゃんがミズを収穫するシーンを動画に撮影するために、事前にロケハンをした時には、旦那さんの富士夫さんが裏山を案内してくださいました(写真右)。
この鬱蒼とした杉林に自生するミズが「旅のBOX」の中に…!
「旅のBOX」にはその他にも町からのプレゼントなども詰め合わせ、お申込みいただいた4組の参加者の皆さまには、予定通りイベント前日にお届けることができました。
オンラインツアーの様子
数日前に梅雨入りが発表されていた山形県ですが、雨に降られることもなく予定通り屋外からスタートすることができました。
前回と同じく、「ふれあいセンター安楽城」の入り口から始まったオンラインツアー。3月には雪に埋もれていたバス停を紹介し、敷地に咲くヤマボウシの花を観ていただいたあと、梅ちゃんが元気に登場します!
ダイジェスト動画でぜひご覧ください!
ダイジェスト動画はこちら
スケジュール(ツアーメニュー)
時間 | 内容 |
---|---|
9:30 | Zoomへの入室開始 |
10:00 | ツアー開始(オープニング・真室川町の紹介・ガイダンス) |
10:20 | 甑山の山開き記念登山バーチャル体験 |
10:50 | 「ミズ」の収穫見学 |
11:00 | ミズ汁の調理体験&試食 |
11:30 | 元地域おこし協力隊員の活動紹介(おはぎ屋) |
11:50 | クロージング |
12:00 | ツアー終了(希望される方は引き続きフリートークを楽しみましょう) |
甑山の山開き記念登山と番楽奉納祭(動画視聴)
真室川町を写真で紹介したあとは、ツアー2週間前の6月4日に開催した甑山(こしきやま)の山開き記念登山を動画で追体験していただきました。
甑山はかつては修験道の行場でもあったそうで、女甑の山腹にある断崖絶壁に宙づりになって「赤穴」を覗き見る修行から、麓の集落に及位(のぞき)の地名がついたという伝説が残っています。
また、ブナの二次林が広がる場所、番楽奉納が行われている場所の近くには修行僧(山伏)が泊まる宿坊もあったそうです。往時の賑わいの面影はまったくイメージできませんが、所どころに鎮座する巨岩の陰に、当時の人の祈りの痕跡を見るような不思議な気持になることがあります。
毎年この時期に開催している甑山の山開きは、山での安全を祈念して、山の神様に「番楽(ばんがく)」の獅子舞を奉納するところから始まります。
鳥海山の山麓一帯で伝承されてきた番楽は、山伏神楽とも呼ばれ山伏が各集落に伝えたとも言われています。甑山山麓のブナ林の下での番楽奉納は、雰囲気満点のリアリティがあります。
真室川町では今も3つの集落が番楽を伝承しており、一年ごとに交代して番楽奉納を執り行っています。2022年は八敷代の番楽保存会の皆さんが奉納してくださいました。
番楽奉納祭が終わると、いよいよ記念登山です。
5月中旬ごろまで雪の残っていた新緑のブナ林を歩いていくと、女甑山の大カツラと呼ばれる巨木が待ち構えています。樹齢千年以上とも言われる大カツラは、かつては及位マタギが崇めた御神体だったとの伝説も残り、林野庁の「森の巨人たち百選」にも選定されています。まさに甑山登山のハイライトのひとつですね!
大カツラを越えて進むと徐々に傾斜がきつくなっていき、最後は手も使って這い登るような登山道になります。
尾根筋の、両サイドが断崖絶壁の登山道を這い登ると、振り仰ぐ人の眼前にズドンと鎮座する女甑山と、その女甑を遠目に取り囲む奥羽山脈の峰々が立ち現われます。カメラやスマートフォンの出番ですよ!笑
男甑の山頂でお弁当を食べると、次は秋田県側に山を下ります。巨大なカツラの切り株「ウィルソンカツラ」と童話の世界のような緑したたる「名勝沼」を訪ねます。最後は女甑山の麓をぐるっと回ってスタート地点に戻り、記念登山は終了となります。
とても美しく分かりやすい。
自分も山開きに参加したいなって思いました。
ダイジェスト動画では、オンラインツアーで再生した動画はカットして編集しています。甑山山開きの様子は、ダイジェスト動画の右上のアイコンをクリックするか、YouTubeの概要欄に記載しているURLからご覧いただくことができます。
または、右の「動画まとめ」からご覧ください。
梅ちゃんと山菜採り!(動画視聴)
原生林やブナ林が広がる甑山のの動画を視聴したあと、次は梅ちゃんのご自宅の裏山を訪ねました(動画で)。
梅ちゃんの案内で普段の「ミズ」摘みを教えてもらい、下ごしらえの方法も教わりました。
本ツアーのメイン食材といえばやっぱり山菜の「ミズ」。
自宅を出てから1分で、梅ちゃんの手には既にミズが!!
他にも多くの山菜が自生していて、その豊かさに呆気にとられるほどです。
どんなミズが美味しいのか、昔の人はどうやって収穫したミズを束ねていたのか、梅ちゃんはミズを摘みながら教えてくれます。
下ごしらえまでやって見せてくれたので、ツアーに参加いただいた皆さまも山形にいらした時には自分で収穫して料理だってできちゃうかもしれませんね!
インターネットや本だけでは今ひとつ分かりにくい部分まで教えてくれた梅ちゃんの解説に対して、こんな風に話してくれた参加者さんもいらっしゃいましたよ。
ミズがウワバミ草だってことが初めてわかりました!
これから有用植物として食べられると分かったので
やっと自分の中でつながりました!
皆で一緒にミズ汁づくり体験!(オンラインワークショップ)
梅ちゃんの案内の下、一緒に作ったのはタイトルにもある「ミズ汁」と、「ミズの浅漬け」に「ミズ刻み」の3品です。
実は梅ちゃんとの打ち合わせで、「どうせなら」と2品を追加して作ることに!
「旅のBOX」でお送りした食材の「ミョウガタケ」も、当初はお送りする予定ではありませんでした。ミズ摘みの動画を収録している最中に、ミズのそばに自生している茗荷(ミョウガ)の株元から伸びるミョウガタケを見つけたのですが、「ミズ刻みに入れるとぅんめぇのよ!」という梅ちゃんの言葉が決定打になりました!
ミョウガタケは茗荷の新芽で、この時期にしか食べられないものでスーパーなどにはなかなか流通しない貴重なもの。一般的な茗荷よりも固めの食感で、匂いも爽やかなのです。
ごく身近な足元の自然から山菜を調達し、日々の暮らしのなかで活かしているからこそ、その時々で一番の美味しい旬のものが分かるんだろうなと思いました。そんな暮らしの一端をお裾分けできたことが、私たちにとっても嬉しい誤算でした!
そしてとにかく、料理名人の梅ちゃんの手元は素早く動いて無駄がない!
しかも、ずーっとおしゃべりしながらの料理ですから、運営は随分と梅ちゃんに助けられました。通信端末越しに繋がっていた皆さんも、ちゃんとついて来られたでしょうか?笑
肝心のミズ汁は極めてシンプルな料理ですので、塩クジラ(旅のBOX食材)という使い慣れない食材があったものの、参加された皆さんもササッと作れたようでしたよ。
ミズ汁はとても自然な味で美味しかったです。
1番嬉しかったのは子ども達が完食してくれたことです。
動画でも感想をシェアしてくださっていますが、お送りした山形の食材を使って、一緒に作って一緒に食べて感想を共有することができるのはリモートであっても楽しい体験ですね。さらに「初めて食べる味、いつか必ず現地で食べてみたくなりました」と仰ってくださる方もいらっしゃったので企画者冥利に尽きます。
内装工事がほぼ完了したおはぎ屋さん!オープンはいつ?!(動画視聴と対話交流)
前回ツアーでも紹介した佐藤萌以さんを、再び若者活動紹介でお呼びしました。
おはぎ屋さんのオープンを心待ちにしてくださる
地元の方もいらっしゃって、私もワクワクしながら
準備をしています。
伝承野菜をはじめとした地域食材を用いたおはぎで、地域を明るくしたいと話してくれた佐藤さん。いまは夏頃のオープンを目指して、試作を続けているそうです。
「雪のおはぎ風花(かざはな)」という店名に込めた想いも話してくれましたが、待ちに待った春に向かう雪国の空のように、ワクワクするおはぎ屋さんになって欲しいなと思います。
こうしてツアーは無事にエンディングを迎えました。ツアー終了後の開催を予告していたフリートークにはありがたいことに全員が残ってくださり、12:40頃までわいわいと色々なおしゃべりを楽しむことができました♪
こんな感想をいただきました
参加された皆さまからいただいた感想から、そのいくつかをご紹介させていただきます
ツアーの参加が出来てとても嬉しかったです。
参加させていただきありがとうございました
真室川町の為にも移住者の為にもこんなに頑張ってくれてありがとうございます!
まだちょっと分からないですけど、奥さんが休みを取ることが出来たら、8月または9月に真室川町に行ってみたいです。
これからもよろしくお願いします。
オンラインですが、既に知り合いの様に感じられ、実際に会いに行きたくなる。
今回作った郷土料理料理を現地で味わってみたくなった。
ぜひ真室川に遊びにきてくださいね!
甑山や梅ちゃんだけでなく、町内の様々なところをご案内して、
想い出に残る真室川での体験をコーディネートしたいと思います!
今後のまむろ暮らしオンラインツアー
まむろ暮らしオンラインツアーは、今後も夏・秋・冬と季節にあわせて開催する予定です。
今回参加できなかった方も、次回はぜひ画面越しにお会いしましょう。
また現地真室川でのリアルな体験ツアーも予定しています。
こちらも準備が整いましたらご案内しますので、お楽しみに!
どのように観てくださいましたか?
今回のツアーに寄せられた感想では、「子どもたちの遊び場所や真室川の教育環境を知りたい」という声や、「雪国の生活の知恵を学びたい」、「屋外でのアクティビティを知りたい」といった要望をいただきました。
ここまで当ページをご覧いただいた皆さまは、どのように観てくださったでしょうか?
感想や、「○○のツアーがあったら参加したいな」とか「○○について聞いてみたいな」などのご要望やご質問があればぜひお知らせくださいね。
動画制作 家崎耕平
テキスト・構成 梶村勢至